【猛】列伝・ 真田幸村と大坂の陣/豊富な逸話と背景を逆説からリアルな人物像に迫る

真田幸村関連の本というのは、大河ドラマ便乗本を除くと本のタイトルがどれも似通っています。なかでも多いのが「真田幸村」というだけのタイトル。あとは、せいぜい「真田幸村と大坂の陣」とか。

今回読んだ本も「【猛】列伝 真田幸村と大坂の陣 (ロング新書)」という本です。2016年の大河ドラマ真田丸の予習のために読んだのはこれで5冊目。

真田幸村の逸話や学説を網羅!真田幸村と大坂の陣(KKロングセラーズ)

【猛】列伝 真田幸村と大坂の陣 (ロング新書)

真田幸村と大坂の陣にまつわる50の謎を一問一答形式で回答していくのがこの本のスタンス。大坂の陣に至るまでの経緯から、幸村の死後までを舞台に、大坂の陣で関わった名だたる戦国武将の紹介や逸話を多く紹介しています。

この本の役割は政治史の流れや解説というより、基本の流れが既に頭に入っている人が色んな逸話やエピソードや学説、背景、裏話などを楽しむという感じ。一つの事象に対して何通りもの説をくまなく紹介し、その元になっている資料が信頼の置けるものなのか、そして最期に著者の意見というのが基本型。

 

真田幸村と大坂の陣の総評

まずですね、何よりも先に言っておきたいことが一つ。この本の著者である渡邊大門というお方は、完全なる徳川家康贔屓です。真田幸村の本なのに、幸村と戦った家康がお好みのようで。

それ自体は全然構わないのですが、この人なんで真田幸村の本をわざわざ書いたんだろうと思うぐらい、家康贔屓なんですよ。特に本の後半部分、真田幸村が大坂夏の陣で討死する箇所を書いた最終局面ではこの傾向がどんどん強くなっていきます。

真田幸村の人気の陰で家康が不当な扱いを受けるのが許せないみたい

真田幸村の戦国武将としてのキャラクターが英雄とか、家康に一矢報いる痛快なヒーローとか、敗者への同情とか敗北した武将でありながら好意的に受け止められてきた背景が確かにあります。

幸村の最期や戦いぶり、逸話、既に否定されている逸話紹介の最期には、幸村をより魅力的に見せるために家康の評判が不当に落とされているというのが一番主張したいことのようで、「家康は気の毒」とまで言っています。

この本のテーマそのものは真田幸村のはずなんですが、敵将の徳川家康贔屓のスタンスで話が進むので、何か歯がゆいというか、何か違和感を覚えながら読み進めたというのが率直な感想でした。

 

真田幸村と大坂の陣の内容と構成

目次は以下のとおり。

  • 第一章 大坂の陣とは?
  • 第二章 真田一族の謎を探る
  • 第三章 大坂の人の謎を探る
  • 第四章 真田信繁(幸村)の謎を探る
  • 第五章 大坂の陣の人々
  • 第六章 信繁(幸村)の最期の戦い

本の構成を著者の言葉をまえがきから引用すると、こんな感じ。

本書は全体を六章に分け、真田一族と信繁、大坂の陣と関係する人物などを取り上げながら、第二章以降はさまざまな角度から一問一答形式で解説を行っている(第一章は大坂の陣の概要を解説)。

興味深かった箇所

今までに数冊の真田幸村本を読んできましたが、初見の内容のものもいくつかありました。その中でも特に印象に残ったのが、5項目。

  • 豊臣秀頼と徳川家康の二条城での会見
  • 方広寺鐘銘事件の背景と片桐且元の苦悩
  • 大阪城の堀・惣構の埋め立てを巡る家康の意向
  • 真田昌幸・幸村親子の九度山での貧困事情
  • 幸村亡き後の首実検

関が原の戦いで家康が勝利してから、豊臣家の処遇に関してどのような立場で居たのか、秀頼との会見でどういう狙いや考えが含まれていたのかは(個人的に)初見でした。ただ、最初に言った通り此の本の著者はかなりの家康贔屓なので、多少の距離感を保ちながら読み進めるのがちょうど良さそう。

あと、真田幸村に関しては九度山時代の貧困や家族に宛てた手紙の紹介も多いです。それに、幸村の首が本人のものであるかどうかを確認する首実検に関しての逸話も何通りかに分けて紹介されています。

まとめ

真田幸村大好きの人にとっては既に知っている内容も多いでしょうけど、興味深い箇所も見つかるかもしれません。

ただ、家康贔屓の論調なので、イライラせずに読み進められる人でないと買わない方がイイと思います(笑)