超入門資本論を感想/ゴールが見えない会社員人生の残酷な現実が…

マルクスの資本論を分かりやすく、現代の日本の労働市場を意識しながら解説した本。もともとの資本論を読んだことはありませんが、原書に比べれば平易でわかりやすくまとめられていると思います。

マルクスが考えた価値と使用価値の二つの考え方を基軸に、モノの値段の決まり方、労働者の給料の決まり方など多岐にわたって経済活動の根幹となる原則的なルールを理解できます。

超入門資本論の感想/働いても働いてもしんどい、豊かになれないのはなぜなのか?

超入門 資本論

資本主義経済の原則的かつ残酷な(?)ルールをこれでもかと暴き出していきます。

この本を読むことで、イノベーション(技術革新)や労働生産性の向上、利益追求の動きによって、短期的には企業が利益を得られても長期的には利益を目減りさせていくという相反する現実を知れます。

基本的に、サラリーマン、会社員などの労働者にとって、現代の経済的原則は残酷なまでに冷酷です。働けど働けど給料が上がらない、年収1,000万円稼いでいる人がなぜしんどいままなのか?を本書で解説しています。

資本論概要そのものは一回読んだだけでは全て理解しきれないと思いますが、本を読みながら自分の仕事に当てはめて考えていくと分かりやすいと思います。

超入門だけど結構本格的!決して簡単という意味ではない

当初、「超入門」とあったので中高生でもわかりやすく読める内容なのかと思っていたら、結構ハイレベルでびっくりしました。マルクスの資本論をベースにしているので、言葉の使い方や定義も小難しい部分があります。しかし、ある程度の知識、教養がある方なら読み進められると思います。

経済学や商学を学ぶ学生や就職活動を控えた大学生にも良さそうです。

超入門資本論の内容と構成

  • 第1章 なぜペットボトルのジュースは150円なのか?
  • 第2章 年収1000万円でも生活がカツカツになる本当の理由
  • 第3章 ぼくらは知らぬ間に給料以上働かされている
  • 第4章 なぜパソコンの値段は下がり続けるのか?
  • 第5章 合格しないと生き残れない「命がけのテスト」
  • 第6章 勝者だけが知っている生き残るための絶対ルール
  • 第7章 コモディティ化せずにこの世を生き抜く3つの方法

基本的な流れは、資本論の中で重要となる基本事項(価値、使用価値の考え方など)を最初に解説。その後その理論に従って、モノの値段や労働者の給料がどう決まるのかなどに話が発展していきます。

資本論の考え方が今の日本及び正解経済の根幹的ルールとなっていることを様々な事例から証明していきます。リーマンショックや不況、パソコンの値段の下落の背景にあるもの、アップルのiPhoneの登場など身近でわかりやすい事例で解説してくれます。(で、そのルールが労働者(サラリーマンや会社員などの雇われ人)にとって残酷極まりないことだというのが徐々にわかってきます)

最後に、そのルールを踏まえた上で私たちはどうすれば今後生き残っていけるのかを筆者の考えで述べる、というのがこの本の内容。

今後を生き抜く秘訣を述べた部分がやや弱い

この本の読後感はどこか複雑でした。会社員必読!というのはわかります。こういうルールのもとであなたの労働力は使い倒されているという現実を理解すべきだと、確かに思うからです。

しかし、そのルールの中でどう生き抜いていくか?の部分(第6章~第7章)が弱い。何か説得力に欠けるというか、具体性に欠けるというか。もうひと押し欲しいような、そんな腑に落ちないところがありました。

突き詰めて言うと、「会社に依存せず、もっと大局的な見地で自分の仕事を見つめなおし、自分にしか出来ない強みを活かした仕事が出来る人材になる」ということになるんでしょうけど、そんなのはどこででも言われていることですし、わざわざ資本論の本で言う内容かというとそれも疑問ですし。

何か「コレだ!」という答えがないままに本が終わってしまった感じ…。

超入門論は会社員が読むことを想定した本

この本は会社員やサラリーマンなどのや雇われ人が読むことを想定されて書かれた本だと思います。もちろん、私のように資本論そのものに興味を持って手に取る人もいるでしょうけど、私は会社員ではなくフリーランスで仕事をしています。そのため、この本を読んでも他に人に比べて響くところが少なかったように思います。

そのため、この本の第6章以降で書かれる「フリーランス思考で仕事をする」というのが、いまいちピンときませんでした。会社員がフリーランス思考で仕事をするのは分かりますが、フリーランスがフリーランス思考で仕事をするわけには行きませんから。

それに経営者や自営業、フリーランスの立場の人が資本論のルールの下で今後どう生き抜いていくか、という点は全く触れられていません。そういう意味では、やはり読む人を選ぶ本かなぁと。