共働き夫婦の幸せとは何か?を真剣に考える本:ワーキングカップルの人生戦略

今の社会情勢に合わせて、古臭い固定観念を取っ払い、夫婦共働きで自分たちの本当の幸せを実現させるための指南本です。

私は現在結婚して子供なしの共働き夫婦ですが、今後子供が産まれて妻が育児休暇をとり、その後復帰という道筋を考えていたので、事前にどのようなことが考えられるかを知りたくてこの本を手に取りました。

2人が最高のチームになる ワーキングカップルの人生戦略の感想と読後感

ワーキングカップルの人生戦略 ― 2人が「最高のチーム」になる

この本は共働きを実践している夫婦だけでなく、もっと幅広い層が対象です。共働きに際して関連してくる事項、例えば仕事、夫婦関係、家事、出産、育児、同僚との関係、周囲の理解、家計のことなど、全ての事を網羅している、いわゆる「共働きの教科書のような本」です。

この本は何度も何度も必要な時に読みたい本ですね。一度読んだだけで全てを理解し、実行するのは難しいですし、その必要もありません。困った時に必要な個所をその都度読み返すような、そんな使い方がいい本じゃないかなと思います。

夫婦のあり方は社会常識ではなく、自分たちにとって最もベストなものを選べばいい

私の家庭でも父が会社員で母が専業主婦という家庭で育ちました。今でこそようやくその意識が徐々に変わってきましたが、特に母親の方が「夫が外で働き、妻は専業主婦で子育てをする」という、いわゆる普通に対するこだわりが非常に強く、「それが一番いい」という意見をよく聞かされました。

この本ではこういった勝手な思い込みとする「固定観念」を取っ払い、自分たちにとってのベストなスタイルとして共働きもありなんだよ、というスタンスです。そのために何が必要で、何に注意して、どんなことを実践していくといいのか、それを整理して一緒に学ぶことが出来ます。

古い価値観に縛られるのは個人の自由だが、それを他人に押し付けるのも違う?

私は今でも「普通が一番」とか「こうあるべき」とか社会常識とか、風習、押し付け、慣習…そういうものが大嫌いです。

団塊世代や今の40代~50代の方で古い価値観を若い人に押し付けたがるのは、自分たちがそうしてきたから、それが一番だと思い込みたいからでもあるでしょう。他の選択肢を認めてしまったら、過去の自分を否定するようで怖いというのもあるでしょうしね。

そんなものに振り回されて自分たちの首を自ら締めていては意味がありません。今自分たちが置かれている状況を冷静に把握し、その中で自分たちが目指す方向性に見合う選択肢を洗い出し、その中からベストを選べばいい、とずっと考えてきました。しかし、残念ながらなかなか今の日本では受け入れられない事も多いです。

この本はこういう世間と自分たちのギャップについて、考える本でもあります。

女性の立場と男性の立場の両方から経験者であり専門家の声が聞ける

この本の著者は株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さんという女性と、NPO法人を立ち上げ、社会起業家として活躍する駒崎弘樹さんの二人です。

お二方とも、起業していながら子供を出産、育児に精を出する現役の共働き夫婦です。彼らの実体験や専門家としての意見も参考になりますが、起業家でありながら二カ月の育児休暇を実際に取得したという駒崎さんの体験は参考になります。

よく育児休暇を取ると周囲に仕事が割り振られ、しわ寄せが行って迷惑がかかる、という声をよく聴きますが、結局そんなものは言い訳に過ぎないことがわかります。結局は、そういう状況でも上手く機能する仕組み作りが出来ていないだけで、その責任を休暇を取った本人に押し付けるのがいかにバカバカしいかを理解させられました。

2人が最高のチームになる ワーキングカップルの人生戦略の内容と構成

共働きの夫婦が子供を出産し、妻は仕事に復帰して子育てをしていく過程の中で、乗り越えらなければいけないすべて事を網羅しています。

  1. 結婚に対する不安や収入の不安
  2. 男性のすべてを背負い込まなければいけないという不安
  3. 夫婦のコミュニケーションのあり方
  4. 家事の分担
  5. 仕事や職場で考慮すべきこと
  6. 時間の使い方
  7. 妊娠初期~出産後の育児と夫婦のコミュニケーション
  8. 育児の注意点
  9. 家計管理

これらのことを全体で取り上げます。具体的な内容と目次は以下の通り。

目次

  • 序章 あなたの「結婚観」はバージョンアップしたか?
  • 第1章 コミュニケーション戦略
  • 第2章 時間戦略
  • 第3章 妊娠・出産戦略
  • 第4章 育児戦略
  • 第5章 お金戦略

この本がいいな、と思えるのは日本で働く全ての社会人が当事者としてこの本を読めることです。夫の立場、妻の立場、上司の立場、同僚の立場、社会の在り方を考える立場、育児支援をする立場、共働き夫婦を持つ親世代の立場…。

それぞれの立場で読むと、それぞれの学びが得られます。ワークライフバランスというよりも、もう少し大きい枠で、自分の立場からどう接し、どうすべきなのかの意識を考えるきっかけになるはずです。

共働きで子育てをしていく難しさやよくある疑問、相談を取り上げるコラムが秀逸

各章の最後によくある質問が取り上げられ、その質問に回答するコラムがあります。そのコラムに寄せられる質問は、今後かなりの確率で遭遇するであろう問題ばかりだと思います。

その質問というのが、

  • いざ結婚したら家事の分担が出来ず、結局女性が一人でやらざるを得なくなる
  • 夫の転勤で会社を辞めるべきかどうか
  • キャリアを考えると出産のタイミングがわからない
  • 小さい子供を保育園に預けることに対する抵抗感
  • 夫である自分が一人で家計を支えられるか不安
  • 職場の理解が得られない

といったもの。これらの考えられ得る問題に対して、どう対処すべきか。表面的なノウハウだけでなく、本書全体で考え方の部分も含めてレクチャーしていきます。

子供が小さいうちから保育園に預けることの是非を今一度考える

私が印象的だったのが、子供が小さいうちから保育園に預けることに対する不安と批判です。この疑問に対する答えが非常に明快で、腑に落ちました。要は、小さいうちから保育園に預けることがダメなのではなく、親と子の関係の質こそが重要なのだと。

よく子供は幼稚園に上がるまでは母親の元で目一杯の愛情と時間を過ごすべき、という声も聴きます。それに対しても、学術的な実験結果と共に否定し、それが単なる勝手な思い込みに過ぎないことを理解させられました。

子供の為に小さいうちから保育園に預けるべきではないのなら、そういう環境で育ってきた人は皆がみんな欠陥人間なのか?という声にはハッとさせられました。それは境遇に対する一種の差別ですよね。それに、母親の元で育った人間が皆がみんな立派になるか?と言えば全くそんなこともないですからね。

幼少期の愛情は大事ですが、それは質の問題であり、結局は子供の自己肯定感(自分が他社に認められている、必要とされている、自分は出来ると感じ取れること)こそが重要であり、表面的なことだけで判断すべきではないのだな、と。結局、大事なのは時間の有無ではなく、その本質だと思います。

共働きの教科書のような本

 

この本は共働きに関するすべてのことが網羅された教科書のような本です。家計管理などは若干内容が浅いですが、仕事のこと、時間管理、育児、同僚との関係、親や夫婦のコミュニケーション、家事の分担などありとあらゆる問題に切り込んでいきます。

結婚に対して不安で前向きになれない男性はもとより、共働きに何らかの形で関与する人であれば、学び多い本だと思います。