
一時期わかりやすい説明でブームを起こした池上彰さんの、「池上彰のお金の学校 朝日新書」。イメージ通り、お金の歴史から仕組み、金利、銀行、証券、保険、株、年金など金融に関する基本事項を分かりやすく解説した本です。
ビジネスに従事する人なら最低限知っておきたいことばかりですが、意外とこういった基本事項というのは抜け落ちているものなので、そういったものを総復習するにはぴったりの本でした。
池上彰のお金の学校の感想と読後感
お金の基本事項というのは、正直誰が書いても同じような内容になります。そこに独自性のある内容を付け加えることよりも、世の中の普遍的な仕組みをどれだけわかりやすく解説できているか?が重要な内容なので、他の本でも同じ内容は学べると思います。
この「池上彰のお金の学校」は文庫本なので、表やデータは時折挿入しているものの、イラストなどの「視覚でわかりやすく」とはちょっと違います。この本のいいところは「文章でわかりやすく」という部分です。
同じお金の勉強本でも内容のレベルが微妙に違う
「池上彰のお金の学校」はレベル的に初級~中級かな。完全初級の内容なら「お金の教科書〜お金と上手に付き合えるようになる!」が浅く広く、基本をおさらいできます。それに、個人のお金の教養というよりは、むしろ世の中の経済や金融の仕組みを学べる本と言った方が性格かも。
「池上彰のお金の学校」と同じようなレベルで中級~の内容なら、イラストや文章などを駆使し、総合的な内容を網羅してわかりやすくまとまった佐伯良隆さんの「知っておきたいホントに大事なお金の話」がおすすめ。
ニュースでよく聞く経済の事を深く知りたい人にはうってつけ

この本がいいなぁと思ったところが、知識として知っておくだけでなく、それを活かすことを想定されて書かれているところです。
例えば、経済のことでも「ニュースの中のお金」という章を作って、その中でGDP、円高やドル安、デフレとインフレなどニュースでよく報じられている内容をしっかりわかりやすく、丁寧に解説されているところです。
こういう本は「なんとなくわかった」で終わりがちで、そのまま知識として定着せず、使えないままの知識で終わることが多いのですが、この本を読み終わった後は経済ニュースを速く見たいと思わせてくれます。この本を読み終わってから、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」とか毎日見ようかなと思っているぐらい(笑)
池上彰のお金の学校の内容と構成
構成は章立てではなく、タイトル通り学校の授業になぞらい、一限目、二限目と授業形式になっています。
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- 一限目 お金の歴史
- 二限目 銀行
- 三限目 投資
- 四限目 保険
- 五限目 税金
- 特別授業一 ニュースの中のお金
- 特別授業二 身近なお金
二限目の銀行の授業では、金利、銀行の賢い使い方を。三限目の投資の授業では
- 株式投資
- 株価
- 債権
- 投資信託
- FX
- 金投資
- EFT
- 先物取引
をそれぞれ解説。保険でも生命保険、損害保険、年金など、各授業で重要なトピックを一つ一つ取り上げてわかりやすく解説してくれます。
お金の教養が身についていない人に最適
この本は、私のようにお金の勉強をしっかりはじめたいという人、経済の仕組みを基本から学びたいという人、あるいは今後の自分の将来を見据えてマネープランを考えたい人に最適です。経済や金融を学んでいる学生さんにもいいと思います。
逆に、お金の教養が既に身についている人は不要です。金融機関に勤められている人なら基本中の基本だと思いますし、日経新聞を既に購読して長年読んでいる人とか、経済を一通り学び終えた人などは別のもっとレベルの高い本がいい。
私の場合は、既に似たような本を読んでいたので、内容に目新しさはありませんでしたが、結局お金の基本や大事な事というのは何度も目にする同じ内容、つまり基本こそが大事なんだなと、改めて気づかされました。