
「オランダ式簡素で豊かな生活の極意」という本を手に取ったのは、今までお金に関すること(お金に対する考え方、スタンス、家計管理、資産運用、使い方など)を勉強しようと色々な本を読んできた延長でした。
モノを消費することよりも他の事に重きを置く価値観、古いものほど価値を置く考え方など、日本人以外のお金に関する考え方を知りたいな、と思ったのがきっかけです。
いやぁ、本当に勉強になった。妻の無駄遣いや自分の浪費癖に悩んでいる人はぜひ読んでほしいと思います。こういう幸せの形もあるんだな、とお金関係の面からも人生の面からも非常に学びの多い本でした。
物欲がなくモノを無駄に消費しないオランダ式・簡素で豊かな生活の極意とは

もともとオランダという国へのイメージは、ワーキングシェアリングの成功やお花や自然の充実といったものでした。そして、北欧の国に負けず劣らずの「精神的な充足感」がある国民性という感じ。
そこの国民の金銭感覚というと、どういうものなんだろうか、というのがスタートでした。この本を読んでみた結果(ゴール)は、「そうそう、自分はこういう幸せを享受したかったんだ!」というものと、「日本でオランダと同じ幸せを享受するには残念ながら環境が違いすぎるけど、取り入れられることは多い」というもの。
一番印象に残ったこと、浪費癖や無駄遣い、物欲が止まらない人に一番伝えたいこと
モノを所有する、あるいは消費する幸せなんて本当にちっぽけなものです。モノを買うより経験にお金を使う方が人は幸せになれるというのは「幸せをお金で買う5つの授業」にも書いてあったことです。
新しいモノや限定モノにとことん弱い日本人ですが、それは本当に必要なのか?充分に下調べをして、本当に買わなければいけないものなのか?オランダ人はとことんココにこだわるみたいですね。
一見ケチな金銭感覚ですが、モノを持つ喜びが想像以上に予想を下回るという現実を認識して以来、自分の金銭感覚も変わってきました。
もし新しいものを買うのなら、それを10年使い倒すつもりでこれからは購入しよう、と。「いずれ捨てるつもりで」とか「とりあえずこれで」などのその場しのぎや繋ぎの消費はしない。一つモノを買ったら、これから10年でどれだけの思い出をそのモノと共有できるかを重視しよう、と。
日本人には無理!?ドケチに見えるオランダ人のモノに対する考え
古いものほど価値がある。
ブランドものや新しさには一切興味がない。オランダ人の金銭感覚は、いかに自分のこだわりを満たしてくれるか、どれだけ自分に似合うか、どれだけ元がとれるか、本当にそれが必要なのか。
簡単な説明ですけど、これがオランダ人の金銭感覚です。
子供のズボンが破れたら?靴下に穴が開いたらオランダ人はどうするか?
読んでいて笑ってしまったのは、靴下にどれだけ穴が開いたらそれを捨てるか?を著者が友人に聞いたところ、みな「三か所」や「二か所」と答えたそう。もちろん、一つ一つ穴をふさいでいって、の話です(笑)
さらに驚いたのが、子供のズボンで膝に穴が開いたら、もちろん布で補強。一度目はポケットを崩して補強し、それでも駄目だった場合は父親の同系色のズボンのポケットを外して使う(笑)
さすがにここまでは出来ないですけど、モノを大切に使うというのは徹底されています。しかも驚くことに、こういう習慣は低収入の層だけでなく、高収入で教養がある、ダブルインカムの家庭でも同じだということ。国民性何でしょうねぇ。
当然、不動産なんかは日本だと築年数が増えるに従って資産価値が減っていきますが、オランダとはじめとしたヨーロッパでは逆です。古いものほど価値が出てきますし、古い建物でも大切にしますから警官が守られ美しさをキープできます。
オランダ人の幸せとは…自然に囲まれコーヒーを飲む&一か月のバカンス&庭

日本人には真似できませんが、ヨーロッパでは一か月のバカンス(長期休暇)があります。日々節約したお金は一気にここで使う。でも、キャンピングカーでホテルには泊まらないし食事も持参のサンドウィッチ(笑)
オランダ人にとって庭は特別なものです。各家庭のガーデニングは競い合うように整備され、一般家庭でも芸術の領域です。そこで手作りの机とお気に入りのチェアーで太陽の光を浴びながらコーヒーを飲む。片手には本。あぁ、羨ましい。
日本人にとっての幸せは物質的な豊かさと繋がりように思われがちですが、そうではない価値観もこの世の中にはあります。それをこの本でまざまざと思い知らされました。オランダ人は自然に囲まれ、お手製のモノを愛用し、歴史に感動し、そして愛する家族に囲まて過ごす自分に幸せを感じるんです。
モノをやみくもに消費し、新しいものを購入することだけが幸せではないんですね。
もちろん、オランダにはオランダの社会的課題もあるはずだけど
この本ではオランダ人の金銭感覚や生活習慣、価値観について、現地で暮らしてきた方が日本人の視点で書いていますが、オランダ人の良いところを当然書いています。
一つ不満があるとすれば、少しでもいいからオランダの国家課題やマイナス面も晒してほしかったということ。どの国でもどの考え方でも表があれば裏があり、いいところばかりなんてことは絶対ありません。
いじわるな見方ではなく、それが普通であり、それでこそ人間らしいと思うからです。この辺のマイナス面について触れられていなかったのが唯一残念でした。